ライター 阿部真麩美

「猫の十戒」ってご存知ですか?
猫と暮らす上で、心がけるべきことを十個にまとめたものです。
猫視点になっているせいか、飼い主さんなら「うちの子も言いそう」と思い当たるフシがありありでは。
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猫の十戒
第一戒 私の生涯はだいたい15 年くらいしかありませんが、たまに20 年以上生きてしっぽが裂けます。ほんのわずかな時間でもあなたが離れていると腹が立ちます。私が家族になってやるので、そのことを覚悟しなさい。
第二戒 あなたが私に望むことを理解するつもりはありません。待っても無駄です。
第三戒 私を崇拝しなさい。私にとってそれが一番大事なことなのです。
第四戒 私を長い時間叱ったり、罰として閉じ込めたりしてはなりません。でも狭いところは好きなのでダンボール箱を用意するのは許可します。あなたには仕事や楽しみもあり、友達だっているかもしれませんが、私のお世話をすることに勝る悦びはないはずです。
第五戒 私に話しかけなさい。あなたの話していることが何かはどうでもいいですが、話しかけるあなたの声はわかるのです。ほめ言葉は特に。
第六戒 あなたが私にどんなふうにしてくれたか、私は決して忘れません。恨みは倍返しします。
第七戒 私をたたいたりする前に思い出しなさい。私の歯はあなたの手の骨をかみ砕くことぐらい簡単にできるのに、気が向いたときにしかかまないようにしていることを。
第八戒 私が言うことを聞かないと怒る前に、まずは自分に問い掛けてみなさい。たっぷり食事を与えてましたか? それは私の好きなシーバですか? 日なたで気持ちよく昼寝をしているのをじゃましませんでしたか? もしかすると年を取って体が弱ってきているのかもしれませんが、どのみち私がしたいことに従わないほうが悪いのですから、あきらめなさい。
第九戒 私が年をとっても世話をしなさい。あなたも同じように年をとりますが、私は年をとってもかわいいのです。
第十戒 最期の旅立ちの時には、そばにいて私を見送りなさい。「かわいそうで見ていられない」とか「私のいないところで逝かせてあげて」なんて言うのは許しません。なでなさい。なで続けなさい。かわいいね、いい子だねと言いなさい。言いまくりなさい。そうすれば私は着換えの時間を少し短くしてやってもよいです。まあ、気が向いたら。
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いかがですか。
うちの場合は全部当てはまりそうですが、特に第六戒、九戒は愛猫デンちゃんなら絶対言うはず。
復讐なのかお仕置きなのか、外泊したりご飯が遅くなるときは、いつも毛玉の吐き戻しが大事なものの上になされていましたっけ。

さて、初めてこの十戒を読んだ時、子供の頃に映画で見た「モーゼの十戒」の海が割れるシーンのように、これまで出会った猫好きの人々が波のように割れていくのが見えました。
そして、その向こうに立っていたのが絵のお稽古で親しくなったMちゃん。
大の猫好きで、インテリアや食器、アクセサリーにも猫モチーフが多く、「猫柄にしたら猫好きが買うでしょって魂胆、見えてるからね! 何でも買うわけじゃないからね! て思いながら買っちゃうよね〜」とコロコロ笑う人です。
イベントで遠出しても、猫がいるから泊まらない。
長蛇の列に並んでいると新幹線に乗り遅れるから、大好きなご当地スイーツも諦める。
帰宅して最初にするのは、当然猫の世話。
倒されたり壊されたりしそうな物は家の中から排除し、飲みかけのカップもそのままにしない、ベッドヘッドには目覚まし時計も置きません(頭の上に落とされたら痛いからね)。
絵の先生から「猫って、躾けてもらってから引き取るの?」と聞かれた時の「いえ、猫を躾けるんじゃないです。私が猫に躾けられるんです」のセリフには、大爆笑でした。

毎日猫にマグロの刺身を買う人、ベッドの真ん中は猫が寝るから常に端っこで「くの字型」で寝る人など多くの猫好きに会いましたが、ここまできっぱりと言い切った人は初めて。
いっそ、清々しささえ感じました。
そんなMちゃんは元から猫好きだったわけではなく、18年前に知人が貰い手を探していた子猫のひよりちゃんを引き取ったのが、初の猫暮らしだそう。
それまで文鳥やセキセイインコとは暮らして来たものの、いきなりの猫ですから、生活が変わるのは当然です。
集めていたクリーンフラワーを毎日ひとつずつ破壊され、怒っても無駄なことを学び、「猫がいるのに倒れるものを飾っておく方が悪い」に行き着いて、
やっと現在の「猫と幸せに過ごせる時間と空間」を手に入れたのです。
そう、「躾けられた」は過言ではなかったのですね。

ひよりちゃんと小春ちゃんがどくまで、動かない予定のMちゃん
他者に合わせたり受け入れたりすることで幸せな関係に変わるって、人間関係にもありますよね。
「相手を変えることはできないから、自分を変えよう」は、人づきあいに悩んでいる人への回答としてよく言われることです。
実際、苦手な人への対応を変える、家族のイラっとする言動を飲み込んで違う視点で言葉を返すなどを心がけていると、気づいたら相手が変わっていたという話はよくあります。
つまり「猫の十戒」の実践は、幸せに暮らすためのオールマイティメソッド。
しっかり読み込んでなるべく多くの「戒」を成しとげてくださいニャ!
ちなみにMちゃんは十戒を読んで大笑いし、そうそう猫ってそうだよね〜と呟いたのち、18歳になるひよりちゃんを思い、十番目の戒にしみじみとしていました。
猫を愛するって、楽しくて深くて切なくて、本当に幸せなことですね。
願わくば、ひよりちゃんのしっぽがたくさん裂けますように。
※この記事は、2016年に作成したものを2026/6/16に書き直したものです。