カリカリーナのKAI工場長もお世話になっている、安房中央動物病院の作佐部紀子(さくさべ のりこ)先生に、猫の健康にまつわるあれこれを教えていただく連載コラム。第11回目は、「中医学で考える猫の食事」です。中医学を診療に取り入れたきっかけをはじめ、中医学の五行や、五行に基づく猫の食タイプなど、今回は中医学にフォーカスして紹介します。猫の健康を守るためにも、ぜひ中医学と猫の食事の関係性について知っていただけたら嬉しいです。

中医学を診療に取り入れたきっかけ
中医学の「五行」とは?
愛猫の五行を調べてみよう!
五行で見る猫の食スタイルと注意点
五行だけでなく、他にも注目したいこと
中医学を診療に取り入れたきっかけ

まず、中医学とは中国で生まれた伝統医学のことで、数千年にも及ぶ経験則に基づいています。私が中医学を診療に取り入れたのは、薬だけでは病気が治らないとき、何かできることがないか?と考えたのが始まりです。そんなとき、「その子の体質に合う食生活を送ることが大切」と教えてもらったことから、薬による治療以外にも、できることがたくさんあることを知りました。
例えば、猫の耳や手先を握ってみたとき、中医学に基づいて考えると猫の今の状態を知ることができるんです。もっと体を温めるべきなのか、水を飲ませたほうがいいのかなど。中医学は自然のものになぞらえながら、その子の性質や状態を知ることができます。
それに、中医学は病気になっていない子にも活用できるものです。まだ病気が見つかっていない状態で体の不調を見つけられたら、薬による治療を行う前に辛い症状を出さなくて済むかもしれない、ということに気が付きました。もちろん、病気になった後でも中医学を取り入れることはできます。つまり、病気であってもなくても、家でやれることはたくさんありますし、そのヒントが中医学的診断に含まれているというわけなのです。
中医学の「五行」とは?

中医学の「五行(ごぎょう)」とは、地球上にあるものを「木・火・土・金・水(もっかどこんすい)」の5つの要素から成り立つと考える思想のことです。この5つの要素は私たちの生活に不可欠なもので、心や体のバランスを整えるために大切な役割を果たしています。
五行に分類されるそれぞれの要素には、特有の性質や季節、方角などがあり、五行を紐解くことで、自分の性格をはじめ体質などを知ることができます。つまり、中医学では「木・火・土・金・水」の5つの要素を人間の身体にあてはめ、自分の身体の状態を理解したり、病気の予防・治療に役立てたりしているのです。
愛猫の五行を調べてみよう!

五行は人間の心や体のバランスを整えるために必要なものですが、実は猫にも当てはめることができます。まずは下記の①から⑤の内容を見て、愛猫に当てはまる項目にチェックを入れていきましょう。①から⑤の中で、該当項目が一番多かったものが愛猫の五行タイプです。
①
おっとりしているタイプ
どちらかというと、愛想がいい
面倒見がいい
食べることが何よりも好き
あまり運動をしない
②
用心深く、新しい物や環境には臆病
うちの猫はとくに耳がいいと思う
びくびくするがあまり不注意でケガが多い
他の猫に遠慮しがち
高いところが大好き
③
頭が良くて器用なタイプ
知らない猫と会っても自分のペースを崩さない
割と規則正しい生活を送る
熱しやすく冷めやすい
飼い主に自分のすべてを理解してほしい
④
好き嫌いがはっきりしている
体を動かすのが大好き
体がしっかりしていて筋肉質
他の猫を押しのけて自分が前に出るボスタイプ
競争心が旺盛
⑤
愛嬌があり、誰にでも好かれるタイプ
好奇心旺盛で何でも触ってみたい
他の猫にも好かれるタイプ
暑さに弱い
テンションが上がりすぎてしまう
五行で見る猫の食スタイルと注意点

ここからは、猫の五行タイプごとの食スタイルと注意点を確認していきましょう。自分の猫が何タイプなのか、照らし合わせながら食に関するアドバイスも併せてお伝えします。
【① が多かった猫は…土タイプ】
愛情豊かで甘えん坊。おおらかで他の猫とも人間の子どもともすぐに仲良しに!食っちゃ寝が好きなぐうたら猫でもあります。
肥満・消化不良に注意
太りやすい体質なので肥満にならないよう注意が必要です。消化器系が弱い猫が多いので、その場合は生食を避け、加熱してあげてください。おすすめの食材は、牛・鶏・ウナギ・マグロ・サバ・サケ・イワシなど。
【②が多かった猫は…水タイプ】
控え目で夢見がち。多頭飼いの場合は、他の猫の影に隠れるようなタイプです。ユーモアなセンスがあり、お茶目な一面も。
水分はたっぷり!でも冷えに注意
腎臓・泌尿器系が弱いので、水をたっぷり与えましょう。おすすめの食材は、豚肉・豚の腎臓・アヒル・コイなど。寒さが苦手で暖かい場所を好む子は消化力が弱いので、―生食は避けたほうがベター。加熱した鶏肉や羊肉などを与えましょう。
【③が多かった猫は…金タイプ】
まじめで規律を好む、図書館司書のようなタイプです。クールで頭が良く、どんなときでもマイペースを貫く独立独歩の性格です。
食事の変化を嫌う!
おすすめの食材は、牛・アヒル・ウサギ・白身魚など。注意したいのが金タイプの猫は、食事の変化に頑固な一面があるということ。時間をかけて食べたいもの・食べさせたいものの折り合いをつけていきましょう。
【④が多かった猫は…木タイプ】
典型的なボス猫タイプ。体ががっちりしていて、非常にエネルギッシュ。自己主張が強く、堂々とした状態で家に君臨します。
エネルギッシュさが足りない子は注意
おすすめの食材は、豚肉・牛の肝臓・鯖・白身魚・カニ・アサリなど。木タイプの猫のうち、手足や耳が冷たく、エネルギーに欠けている子は肝臓が弱いので、生食避けて加熱したものを与えましょう。牛肉・豚肉・鶏や牛の肝臓などが◎。
【⑤が多かった猫は…火タイプ】
人間・猫を問わず、誰からも愛される天性のアイドル。茶目っ気があり、好奇心いっぱいに動き回るので、一緒にいて飽きません。
生食向きの猫が多い!
火のタイプは比較的タンパク質の好き嫌いがなく、生食もokです。おすすめの食材は、豚・鶏・七面鳥・マグロなど。ただ、夏が苦手な場合が多いので、夏に食欲が落ちることも。食べやすい工夫をしてあげましょう。
五行だけでなく、他にも注目したいこと

今回は五行に基づいた猫の性格タイプをはじめ、おすすめ食材や食の注意点をお伝えしました。実は中医学で注目したいのは、五行だけではありません。次回は、気・血・津液(き・けつ・しんえき)という、生き物の生命活動を支える3つの基本要素をもとにした、猫の体質チェックについて紹介します。中医学は奥が深いですが、知れば知るほど、愛猫を守るためにできることが増えていきますから、ぜひ皆さまにも知っていただけたら思います。