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のりこ先生の”猫と人”

中医学で考える猫の食事|氣・血・津液をもとにした体質チェック

カリカリーナのKAI工場長もお世話になっている、安房中央動物病院の作佐部紀子(さくさべ のりこ)先生に、猫の健康にまつわるあれこれを教えていただく連載コラム。第12回目は、「中医学で考える猫の食事」です。今回は、生命の本質といえる「氣・血・津液(しんえき)」についてのお話しです。氣・血・津液をもとに、猫の体質チェックをする方法やどんな食事をとったらいいかなどをご紹介します。猫の健康を守るためにも、ぜひ中医学と猫の食事の関係性について知っていただけたら嬉しいです。




1: 生命の本質「氣・血・津液」とは?
2: 「氣・血・津液」をもとにした体質チェック
3:体質タイプごとの食事やケアのポイント
4: 新鮮な食べ物を与えて、氣・血の両方を補おう!




生命の本質「氣・血・津液」とは?

中国では、生きていく上で欠かせない生命の本質が氣・血・津液(しんえき)であると考えられています。この3つが十分に足りている、または不足しているかで健康か病気かを判断することができるのです。この氣・血・津液は、それぞれ下記に当たります。

氣:エネルギー
血:栄養素
津液:「血液」以外の体内にあるすべての正常な水分。汗、涙、唾液、鼻水、胃液、関節液など

中医学ではこの3つが過不足なく、上手にめぐっていることが健康であるといえるため、氣・血・津液は生きる上で欠かせないものといえるのです。


「氣・血・津液」をもとにした体質チェック

氣・血・津液のバランスを崩すと、体調不良や慢性的な不調を引き起こしてしまいます。ここに書かれている症状をチェックすると現在の体質タイプが分かりますので、まずは愛猫の体質チェックをしてみましょう。下記の内容を見て、該当項目が一番多いものがその子のタイプといえます。

氣虚(ききょ):元気不足タイプ

  • 元気がない
  • 疲れやすい
  • 動きたがらない
  • 呼吸が浅くて弱い
  • 食が細い
気虚は、氣が足りていない元気不足タイプです。老化による氣虚や、病気が長引いたため、栄養が不足している、ごはんが足りていない子などが当てはまります。


血虚(けっきょ):栄養不足

  • 舌が白っぽく貧血気味
  • ふけが多い
  • 爪が割れやすい
  • 筋肉が少なく瘦せ気味
  • 脱毛しやすい
血虚は、血が足りていない栄養不足タイプ。体の組織がしっかりとしていないのが特徴です。


氣滞(きたい):イライラしやすい

  • 神経質
  • おならが多い
  • 睡眠が浅い
  • 腹部がはっている
  • 嘔吐や便秘をしやすい
  • 攻撃的な性格
  • 落ち着きがない
氣滞は、氣の巡りが悪くてイライラしやすいタイプです。氣の流れが滞ると体だけでなく、心にもあらゆる不調がみえてきます。


瘀血(おけつ):血がドロドロ

  • 舌が紫色
  • 毛並みにつやがない
  • 歯周病がある
  • 触ると痛がるところがある
  • しこりがある
瘀血は、血の巡りが悪い血液ドロドロタイプです。血の巡りが悪いと、体の細胞に栄養や酵素が行き届かず、老廃物が溜まりやすくなってしまいます。


氣・血どちらのタイプにも重要な津液の存在

どのタイプの子にもいえるのが、津液が過不足なくあるかどうかということ。津液は、血液以外の体内にあるすべての正常な水分のことをいいます。

例えば、涙も津液のひとつですが、涙が必要以上に出ると困りますが、全くでないとドライアイを招くなどの問題に繋がりますよね。涙だけに限らず、津液が失われすぎるとどの臓器も動きが悪くなるので、津液も過不足なくあることが大切といえます。


体質タイプごとの食事やケアのポイント

 
ここからは、体質タイプごとに食事やケアのポイントをご紹介。おすすめ食材や日常生活の過ごし方のアドバイスなどを解説していきます。

氣虚(ききょ):元気不足

氣虚は、胃腸が弱い子が多いので、消化のいいものを与えることが大切です。おすすめ食材は、牛肉・鶏肉・豚肉・いわし・かつお・サケ・マグロ・かぼちゃ・舞茸など。消化を考えて細かく切ったものを与えるなどの工夫が必要です。

また、氣虚タイプはイレギュラーなことが苦手なので、普段通りの穏やかな生活を心がけましょう。睡眠と食事をしっかりとり、体が冷えないよう気を付けて、温かさを失わないよう注意してください。無理な運動は控えつつも、日光浴をさせてあげるとエネルギーが溜まりやすくなるのでgoodです。

血虚(けっきょ):栄養不足

血虚タイプは栄養が足りていないので、良質なタンパク質をとることを心がけましょう。なかでも、レバー類はとってもおすすめです。ただ、レバーばかりだとお腹を壊してしまうかもしれないので、普段の食事に1~2割のレバーを入れてあげましょう。

ほかにも、血合いの多いイワシ・カツオ・マグロをはじめ、サケや加熱した卵などの良質なタンパク質を入れると◎。食べ物から血(栄養)を補うことが大切といえます。

また、出血を伴う病気をしていないか、確認が必要です。例えば、膀胱炎で血尿が出ていないか、口内炎で歯茎から血が出ていないかなど。血虚タイプは、少しの出血でも体を弱めてしまうため、飼い主さんがしっかりと観察してあげてください。

氣滞(きたい):イライラしやすい

氣滞タイプは、氣の巡が悪く、食べ物も滞るためお腹がはりやすいのが特徴です。おすすめ食材は、みかん、セロリ、春菊、パクチー、セリ、ミントといったハーブ系など、苦味のあるもの。これらの苦味がある食材は、体の悪いものを出して氣の流れを良くする効果が期待できます。

苦味のある食材は食べない…という子は、においをかがせるだけもok。ほかにも、氣の巡りが良くなるので、マッサージしたり、ストレッチしたりしてあげるのも良いでしょう。

瘀血(おけつ):血がドロドロ

瘀血タイプは、体を冷やすと血の巡りが悪くなるので温めてあげることが大切です。動物病院で相談して、猫ちゃん用の漢方薬をもらうのも良いでしょう。

おすすめ食材は、牛肉・いわし・さけ・オクラ・パセリ。青魚(EPA・DHA)や植物油(α-リノレン酸)に豊富に含まれるオメガ3脂肪酸を積極的にとると血液の流れが良くなりやすくなります。心臓病や腎臓病の子にもおすすめです。


新鮮な食べ物を与えて、氣・血の両方を補おう!

 
ここまでタイプごとにおすすめ食材やケア方法を紹介しましたが、どのタイプにもいえるのが、新鮮なもの・旬な食べ物を食事に取り入れることが大切ということです。

猫の普段の食事に季節のお魚や新鮮な肉や卵などをトッピングすることで、氣血を十分に補い、良い流れにすることに繋がります。毎日のトッピングごはんは、少し手間がかかるかもしれません。しかし、少しの工夫で猫の健康を守ることができますので、ぜひ皆さんも猫に与えるごはんについて考えていただけたらと思います。

トッピングごはんの記事はこちら

作佐部 紀子

サクサベ ノリコ

安房中央動物病院 獣医師

日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)卒業
日本獣医ホメオパシー学会認定獣医師
日本中医獣医薬学院認定中獣医師

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