カリカリーナのKAI工場長もお世話になっている、安房中央動物病院の作佐部紀子(さくさべ のりこ)先生に、猫の健康にまつわるあれこれを教えていただく連載コラム。第四回目は、「トイレの工夫~猫にも人にも気持ち良いトイレ~」です。猫のトイレにフォーカスし、三回に分けてお伝えします。今回は設置場所や、トイレの形状・砂の種類について解説しますので、選ぶ際に参考にしてください。

1:トイレは何個あると良い?
2: トイレの設置場所はどこがベスト?
3: トイレの種類
4: 砂は何がおすすめ?
Point1: トイレは何個あると良い?

基本的に、トイレは猫の数プラス1個用意しましょう。
例えば猫を1匹飼っているのであれば、2個のトイレがあるとベストです。
猫は一度排泄した場所は避ける傾向にあるため、トイレが汚れた状態のまま放置されていると、排泄を我慢してしまいます。排泄を我慢することでさまざまな病気を引き起こすリスクが上がるため、排泄を我慢させることは絶対に避けたいところです。
もし、1匹に対して2つのトイレがあれば、おしっこ用とうんち用とそれぞれ分けて使えますよね。また、飼い主が留守の間、すぐに掃除ができない状態でも、トイレが2つあれば安心です。
Point2: トイレの設置場所はどこがベスト?

猫のトイレの場所は、落ち着きのある静かなところが理想です。
なかでも、人間のトイレ周りは猫にとって利点があるかもしれません。人のトイレなら猫が落ち着ける空間かつ、匂いも気になりにくい場所なのでお手入れもしやすいです。
とはいえ、スペース的に人間のトイレ内には置けない…という方もいるでしょう。そのときは暖かいお部屋の片隅など、猫が落ち着けそうな場所を探してみてください。
また、多頭飼いの場合は、それぞれの「コアエリア」を設けるとストレスになりにくいです。「コアエリア」とは、トイレ・お水・フード・落ち着ける寝床の1セットのこと。リラックスしてトイレを行うためにも、エリアを分けて設置すると良いでしょう。
寒い場所は避けて!
ひとつ注意したいのが、廊下や普段使わないスペースに置く場合です。猫は寒さが苦手な生き物なので、トイレに行くまでに寒さを感じることで、トイレを避けてしまいます。寒い場所に置く場合は、トイレまでの道のりに対して、暖房を使って寒さを和らげる工夫をすることが大切です。
2つのトイレを並べて設置しない
先ほど1匹の猫に対して、2つのトイレを用意するのが理想とお伝えしましたが、トイレを2つ並べるのは、お勧めしません。猫は並んだ2つのトイレを1つとして認識することがあります。2つのトイレは、離れた場所に設置してみてください。
もし、トイレを置いてみて使わないようであれば、そのトイレは撤去して別の場所に移設してみてください。猫が落ち着いて排泄できる環境を作ってあげてくださいね。
Point3: トイレの種類

猫のトイレは、システムトイレと箱タイプが主流ですが、ここで猫のトイレの種類とそれぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。
システムトイレ

システムトイレとは、2層構造になっているもので、上段にスノコ、下段にトレーがあります。スノコには猫砂、トレーにトイレシートを敷いて使用します。
システムトイレのメリットは、おしっこのたびに砂を変える必要がないところ。飼い主が留守の間でも安心です。下段のトレーにトイレシートを敷かなければ、トレーの中におしっこをとることができるため、病院で尿検査が必要の際やおしっこの観察をしたいときに便利です。
ただ、二層構造になっているためお掃除に手間がかかるのが難点。週1回はすべてを取り外して綺麗にする必要があります。
箱型トイレ

箱型も週1回の掃除が必要ですが、システムトイレに比べてシンプルな構造のため、ふき取ったり洗ったりしやすのがメリット。デメリットは、トイレの砂がおしっこで濡れるたび砂の交換をするところです。
箱型トイレを選ぶ際は、猫が落ち着いてトイレをするためにも、猫の体長(頭からお尻までの長さ)×1.5倍の長さがあるものを選びましょう。
また、箱型トイレを買わずに、ステンレス製の深型バットや衣装ケースを箱型トイレとして代用することも可能です。
フード付きのトイレ

フード付きとはトイレの上に屋根がついているものです。猫砂が周りに飛び散りにくいのがメリットですが、猫にとって、圧迫感がある点とにおいがこもりやすいのがデメリットといえるでしょう。
清潔さを保てる観点から私は箱型をおすすめしますが、それぞれにメリット・デメリットがあるので、ご家庭にあう方を選ぶと良いでしょう。
Point4: 砂は何がおすすめ?

猫の好みは鉱物系
猫の砂の種類は、鉱物、おから・木、紙などが挙げられます。大前提に、猫は畑のふかふかした土が大好きです。猫の本能から、ふかふかで柔らかい土に似たような砂を好む子が多いため、細かくてサラサラした鉱物系の砂を好む子が多いでしょう。ただ、鉱物系の砂は、細かければ細かいほど、飛び散りやすく掃除が大変で、自治体によっては不燃ごみになる場合もあります。
おからは誤飲に注意
おからや木は可燃物で安く、臭い防止効果もありますが、おからは猫が食べる危険性があるため要注意です。紙タイプも燃えるゴミに出せる上に消臭効果あり。ただ、軽いので、飛び散りやすいのが難点です。
新聞紙を再利用したタイプも!
私のおすすめは、新聞紙を再利用して小さく固めたペレットです。新聞紙だけど石みたいに固く、また新聞紙のインクのおかげで消臭効果が高いのが特徴。おしっこを吸収すると膨らむので、おしっこした場所がわかりやすく、取り換えやすのがメリットといえます。ただ、新聞紙を再利用している分、他の砂に比べて少し値段は高めです。
猫の砂を選ぶ際も、飼い主さんのお手入れのしやすさや猫の好みに合うものを選んであげると良いでしょう。