ライター 阿部真麩美

誰かと仲良くなりたいときに、ちょっとしたプレゼントを贈るのは常套手段ですが、どうやらこれは人間だけの技ではないようです。
高度な知能と社会性を持っていることで知られているシャチですが、カナダ・ニュージーランド・メキシコの国際的な研究チームにより過去20年間に記録された34件の事例を分析した結果、シャチは人間に食べ物を分け与えようとしていることがわかったそうです。
報告によると、シャチは人間に興味を持っていて、良い関係を築こうとしている可能性があるのだとか。
野生のシャチは人間に食べ物を分け与えようとすることが、科学的に確認される [カラパイア]

この記事を読んで思い出したのが、「オルカ」という海洋映画。
オルカとは、シャチの学名Orcinus orca の一部をとった呼び名です。
水族館の依頼でオスのシャチを捕獲しようとしていた漁師が、誤って妊娠中のメスのシャチを殺してしまったことから、妻と子を失ったシャチがその漁師に復讐をする物語です。
目の前で息絶える妻を見つめるシャチの目に宿る哀しみ。
1977年の映画なので現代のCGとは全く異なる画像なのですが、あれは海水ではなくシャチの涙だ、とテレビの画面を見て感じました。
自身の姿を見せつけ、漁師に「これは復讐である」と伝えながら追い詰めていく過程は、シャチが人間を観察し、何を恐れるのかを見極めているからこそ。
映画館で見たわけではないのに、メスが殺されるシーンとオスの涙、そして海の王者としての誇りすら感じさせる壮絶なラストシーンが脳内に焼き付いて、以来シャチには特別な思いを持ち続けています。
頭がいいだけでなく、深い情と計算しつくした実行力、そしてプライド。
ネタバレになるので書けませんが、見事なストーリーでした。
今回の報告で、「オルカ」の物語は決して絵空事ではないのだと裏付けられた気がします。

さて、我らが愛する猫さんも、食べ物を分けてくれようとしますよね。
「おみやげ」とか「プレゼント」と呼ばれる、狩で得たカエルやスズメを飼い主の前に置く行為で、もらっても嬉しくないものばかり。
愛猫のデンちゃんは外に出さないようにしていたので、おみやげはなかったのですが、網戸を開けた時にセミが迷い込み、見事に仕留めたことがあります。
ジジジジ鳴くと断末魔のセミを差し出してきたデンちゃんに、「やめて!もう触らないで!」と叫びながらなんとか始末した虫嫌いの私。
でも、狩は猫の本能です。
そして、飼い主の前に置くのは褒めて欲しいからとか、食べ物を分けてくれようとしているとか、狩の仕方を教えてくれようとしているなど、いくつか説はあるものの、どちらにしても関係を良くしたいと思っているから。
それなのに一方的に非難してしまい、デンちゃんにはかわいそうなことをしたと反省しています。

室内猫にとって狩をする機会は、ほとんどありません。
でも、動くものを見ると追いかけたり捕まえたりしたがるように、狩猟本能は生まれた時から備わっているもの。
猫もシャチと同じように、獲物をもて遊ぶ習性があるため、追いかけ甲斐のあるおもちゃは用意してあげたいですよね。
カリカリーナ公式オンラインショップでも、天然素材で作られた猫さんに優しいおもちゃを厳選して多数用意していますので、喜んでもらえそうな「獲物」を用意してあげてください。
こちらのネズミさんなら、始末に困ることはありませんから。
それにしても、分けてくれようとする食べ物は、狩ったものだけ。
カリカリや缶詰は、絶対に分けてくれたりしませんよね、猫さんたち。
なんでかニャ〜。
まあ、もらっても食べないけどね。
