カリカリーナのKAI工場長もお世話になっている、安房中央動物病院の作佐部紀子(さくさべ のりこ)先生に、猫の健康にまつわるあれこれを教えていただく連載コラム。第五回目は、「トイレの工夫~猫にも人にも気持ち良いトイレ~②」です。猫のトイレにフォーカスし、三回に分けてお伝えします。今回はうんちで健康チェックをする方法を中心に解説しますが、猫のトイレ掃除の方法についても紹介します。猫の健康を守るためにもぜひうんちについて知っていただけたら嬉しいです。

1: うんちで健康チェックをしよう!
2: こんなうんちは即病院!
3: トイレ掃除の方法
うんちで健康チェックをしよう!

大前提に猫のうんちも人間と同様、硬すぎず柔らかすぎずの状態のうんちが望ましいです。うんちを見る時は、異物が入っていないか確認した上で、硬さ・色・ニオイに注目しましょう。
ここから、うんちを見るときのポイントをひとつずつお伝えします。
ポイント①:異物がないか確認
うんちの表面に膿、血、猫の毛、異物がついていないかしっかりチェックしましょう。
なかでも、注意したいのが猫の消化管内寄生虫です。消化管内寄生虫とは、主に猫の胃や腸などの消化器官にいる寄生虫のことです。うんちに混ざった寄生虫らしきものを発見した際はすぐに動物病院を受診しましょう。
もし、寄生虫かどうかの判断がつかないときは、うんちを袋に入れてそのまま獣医さんに見せることをおすすめします。
【写真】寄生虫(猫回虫)の混ざったうんち
ポイント②:うんちの硬さ
うんちの硬さがいつもと違うな、と感じた際は写真を撮ったり袋に入れたりして、獣医さんに見せてください。例えば、水っぽいうんちの場合は寒証の疑いがあります。寒証は、全体的に冷えている状態を指します。黄色くてねばねばした状態かつものすごい臭いうんちは、熱証の可能性があります。熱証とは体内に熱がこもった状態のことです。また、下痢が続いている場合は、なんらかのアレルギー症状が出ている可能性もあります。
【写真】水っぽいうんち(下痢便)
ポイント③:うんちの色
うんちの色も猫の病気や体内で起こっている異常を知るきっかけになります。例えば、赤いうんちは消化管の出口のほう(大腸)の出血の疑いがあり、真っ黒のうんちは消化管の上部からの出血の可能性が高いです。この真っ黒のうんちは、赤いうんちより要注意です。白っぽいうんちの場合は、肝臓・膵臓・胆嚢の病気の事もありますので、要注意です。
また、うんちの周りにゼリー状のものがついているときは、大腸が炎症を起こしているサインです。うんちが出ずにゼリーしか出ないこともあるので、注意してください。
ポイント④:うんちのにおい
うんちのにおいが、血生臭い・くさったようなにおいの時も猫の体の異常を示しています。
こんなうんちは即病院!

下記にあるうんちが出た場合は、すぐに動物病院を受診するようにしてください。
- 便がゆるいor極端に固い
- においが異常
- 血が混じっている
- 色がいつもと違う
- 量が明らかに少ない
- うんちが3日出ていない
いつもと違うな、ちょっとおかしいと感じたら、すぐに病院に行くのがベスト。また、うんちの状態だけでなく、うんちの回数がいつもより多いor少ない場合も注意が必要です。猫のうんちをよく観察し、早期発見・早期治療を心がけましょう。
トイレ掃除の方法

最後にトイレ掃除についてお伝えします。猫がおしっこやうんちをしたところは、なるべく毎回綺麗に取り除くよう心がけましょう。トイレの砂を全取っ替えして、トイレのトレー自体を洗う事を週に1回ほど行う事をお勧めします。洗剤や塩素を使う場合はにおいや成分が残らないよう、綺麗に洗い流してあげてください。
消臭をかねてアロマオイルを一滴垂らしたお水をバケツにはり、そのお水を絞って拭き掃除をするのもおすすめです。アロマオイルの中でも、消臭効果が高いのはレモングラス。天然100%のものであれば猫にも安心して使えます。アロマオイルであればなんでも良いわけではなく、アロマオイルのなかには猫の体に有害な物質を含んでいるものもありますので注意が必要です。
またトイレの消臭剤を使うときは、猫がなめても大丈夫で安全なものを使うと良いでしょう。猫は嗅覚がするどいため香りが残るものは基本的に好ましくありません。無臭のものを選ぶようにしてくださいね。天然100%のアロマオイルを薄めたものは半日ほどでほとんど香りが消えるのでオッケーですが、消臭後にすぐに使い始める時は、猫ちゃんの好みの香りであるかよく観察してみて下さい。