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カリカリーナブログ

のりこ先生の“猫と人”

猫のおしっこでわかる健康状態&トイレの粗相の原因・対処法を解説

カリカリーナのKAI工場長もお世話になっている、安房中央動物病院の作佐部紀子(さくさべ のりこ)先生に、猫の健康にまつわるあれこれを教えていただく連載コラム。第六回目は、「トイレの工夫~猫にも人にも気持ち良いトイレ~③」です。 猫のトイレ問題にフォーカスし、三回に分けて猫のトイレのあれこれについてお伝えします。今回はおしっこで健康チェックをする方法をはじめ、トイレの粗相について紹介します。猫の健康を守るためにも、ぜひおしっこについて知っていただけたら嬉しいです。

1: おしっこで健康チェックをしよう!
2: おしっこの粗相をしてしまう理由
3: おしっこの粗相の対処法
4: 粗相した場所を綺麗にすることが大切


おしっこで健康チェックをしよう!
 

まずは猫のおしっこの何を見れば健康状態がわかるのか、チェックすべきポイントごとに分けて解説します。


ポイント①:おしっこの量・回数

1日のおしっこの量は、体重1キロにつき20~30ccの量が望ましく、回数は1日2~3回出るのが正常といえます。

ちなみにおしっこの回数が増えている場合は、膀胱炎やストレスといった、膀胱・尿道に原因があることが多いです。
一方で量が増えている際は、腎臓や代謝系の疾患がある可能性が高いといえます。
尿の量・回数が多いだけでなく、少ない場合も何らかの異常を表しているサインなので要注意です。

ちなみに、お薬を常用している子は尿の量や回数に変化がでるため、こちらも注意が必要。普段使っているお薬によって、尿の量が増えたり減ったりするので、お薬を常用している場合は獣医さんに確認しておくと安心です。


ポイント②:おしっこの色

薄黄色~黄色が正常で、それ以外の色のときは要注意です。例えば、濃い黄色・赤・白・オレンジ・黒など。膀胱炎をはじめ糖尿病といった泌尿器以外の内臓の病気に罹っている可能性があるので、おしっこの色が薄黄色~黄色以外の場合は、すぐに病院に行きましょう。

前回猫のうんちで健康状態が分かるとお伝えしましたが、うんちよりおしっこの変化のほうが、緊急度が高いです。


ポイント③:おしっこのにおい

おしっこのにおいがいつもと違う場合は、何かおかしいと感じたときはすぐに受診してください。


ポイント④:おしっこに異物が混ざる

結石や結晶が混ざっていたり、血の塊がでたり、おしっこに異物が混ざっているとき何らかの病気のサインです。


ポイント⑤:排尿時の様子

排尿時に鳴いたり、トイレで長時間うずくまったり、腹部や陰部をたくさん舐めている場合は、膀胱や尿道に痛みが出ている可能性があります。排尿時の様子はいつも確認したいところです。


ポイント⑥:行動の変化

トイレ以外の場所で粗相をしたり、トイレに行きたがらなかったり、普段と違う行動をとっている場合も、猫の体に何か変化が起きているサインといえます。

猫のおしっこの変化は、膀胱炎、腎臓病、糖尿病など命にかかわる病気を引き起こしている可能性が高いので、おしっこの状態は毎日必ず確認しましょう。そして、少しでも変化を見つけた際はすぐに動物病院へ足を運んでください。

 

おしっこの粗相をしてしまう理由
 

トイレを失敗する理由は、主に3つ。病気、尿スプレー(マーキング)、不適切な排尿行動(尿を普段と違う場所にすること)が考えられます。

病気の場合は、主に膀胱炎、尿路結石、腎臓病、糖尿病などが原因であることが多いです。排泄時の痛みや頻尿を我慢できないことから、結果的に粗相を起こすことがあります。猫が何らかの病気に罹っている場合、おしっこの量・回数、色にも変化が出ているので、すぐに病院へ連れていきましょう。

尿スプレーは、外の猫の気配を察知したことから猫が自分の存在をアピールするために行うマーキングの一種です。不適切な排尿は、環境の変化によって起こります。例えば、猫が設置されたトイレでしたくないと感じているときや、生活の中で猫がストレスを受けたときです。

 

おしっこの粗相の対処法
 

おしっこの粗相がみられた際、病気を疑う場合はすぐに病院へ連れていきましょう。ここでは、病気以外で猫が粗相をする理由の2つ、尿スプレーと不適切な排尿をされたときの対処法をお伝えします。


尿スプレーの対策

猫の尿スプレーによる粗相があるときは、外の猫の音や姿、鳴き声を感じさせない環境作りをしましょう。猫が尿スプレーを行うときは、外の猫の存在を五感でキャッチしている証です。外の猫の存在を気にさせないように、飼い主さんが配慮してあげてくださいね。


不適切な排尿をしたときの対処法

不適切な排尿がみられた場合は、まず猫のトイレが綺麗かどうかを確認しましょう。猫は汚れているトイレは嫌がる傾向にあります。

つぎに、トイレの設置場所やトイレの砂の種類を変える、などトイレの環境を変えてみることも大切です。

そして、飼い主さんと猫との関係性も見直してみましょう。例えば、猫がトイレに行こうとしたタイミングで猫を抱っこしたり追いかけたりしてしまうと、猫のストレスになり、不適切な排尿を招く可能性もあります。猫にストレスを与えないためにも、猫のペースを守った上で信頼関係を築くことが大切です。

 

粗相した場所を綺麗にすることが大切
 

猫が粗相をしてしまったら、徹底的に掃除することが大切です。粗相をしたところにニオイが残るとまた同じに粗相することに繋がりかねません。猫が粗相した場所があったら、物をおいてふさぐなどして、物理的に粗相した場所に行かないようにすると良いでしょう。

大切なのは、猫が望む場所にトイレを用意して、トイレを常に清潔にすること。これらすべての対策をしてもトイレの粗相が直らない場合は、動物病院の行動診療科に相談してみましょう。大学病院や個人病院など、行動診察料がある病院を調べてみてください。

作佐部 紀子

サクサベ ノリコ

安房中央動物病院 獣医師

日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)卒業
日本獣医ホメオパシー学会認定獣医師
日本中医獣医薬学院認定中獣医師