カリカリーナブログ

猫とおしゃべり

最近一番嬉しかったことは、「鳥獣戯画に猫がいた!」ってこと

ライター 阿部真麩美

かねてより、仏教における猫の扱いに不満がありました。

仏教を起源に生まれた干支では猫が排除されているし、お釈迦様が亡くなった時の様子を描く涅槃図には、多くの動物が描かれているのに猫だけはいないなど、なんとも理不尽な仕打ち。

そもそも仏典には猫のことをよく書いてあるものは皆無に近く、悪いことをすると猫に生まれ変わると記されているものがほとんどだとか。

つまり、猫に生まれ変わりたくないなら良い人でいましょうね、と教えを説くくらい猫は嫌われていたのです。

そんな悔しさに一石を投じてくれたのが、6月に東京国立博物館で開催された「国宝 鳥獣戯画の全て」でした。

鳥獣戯画とは京都高山寺に伝わる甲乙丙丁の四巻からなる絵巻物で、擬人化した動物たちや人々を躍動的に描いたもの。

一番人気の甲巻は、「日本最古の漫画」と言われることもあるように、うさぎやカエルが相撲を取ったり水遊びをしたりといった、ユーモラスな様子で知られています。

描かれたのは平安時代後期から鎌倉時代と約1000年前で、甲巻の作者は天台僧、鳥羽僧正覚猷(とばそうじょうかくゆう)の筆と伝えられてきましたが、確証はないとのこと。

2015年に同じ東京国立博物館で開催された「鳥獣戯画展」では、入場するのに最大6時間待ちになったほどの人気の高い国宝です。

今回の展示は緊急事態宣言期間と完全に一致したため、開催されることなく終了すると思われていましたが、宣言明けに20日間だけの開館が決定。

慌ててチケットを入手し、なんとか鑑賞することができました。

その鳥獣戯画に、烏帽子をかぶった猫を発見!

それも、扇で胸元を隠しながら、いわくありげな微笑をたたえて振り向いているという魅惑的な姿で。

見つけた時は、思わずガッツポーズを取ってしまいました。

表情だけなら、主役であるうさぎやカエルよりもはるかに印象的です。

現存する甲巻には猫は1度しか登場しないものの、記念グッズにはこの猫をモチーフにしたTシャツやファイルもあり、その存在感の強さを物語っていました。

そういえば、紅葉で有名な京都の東福寺の涅槃図にも、猫がいましたっけ。

以前京都旅行をした際に、お寺のスタッフが「大抵のお寺には涅槃図がありますが、猫が描かれているのは全国でも十数件だけ」と説明してくれました。

猫が描かれない理由は、お釈迦さまが亡くなりそうだと知ったお母様の摩耶夫人(まやぶにん)が天上界から霊薬を投げたところ、その薬袋が沙羅双樹の枝に引っかかってしまい、それをネズミが取りに行ったのですが、ネズミが走るのを見た猫が本能的に追いかけたために薬が届かずにお釈迦さまが逝ってしまったから、ということだそう。

ではなぜ東福寺の涅槃図に猫がいるのかというと、絵を描いている時に足りなくなった高価な赤い絵の具を猫がくわえて持って来てくれたからなんですって。

猫が登場する涅槃図の多くが似たような逸話を持ち、感謝のしるしに描かれたということになっています。

諸外国に比べて、猫をポジティブに捉えることが多かった日本。

仏教は外来宗教とはいえ、日本の文化の根幹をなすほど深く根付いているだけに、表立って猫を描くわけにはいかなかった当時の状況が見て取れますね。

そんな中で、不思議な逸話を作ってまで猫の姿を残した猫好きの仏画師たちに拍手を贈りたくなりました。

ちなみに、もしも皆さまが仏画を描く機会があったら、どんな絵を描きたいですか?

私はもちろん、カリカリーナに横たわる猫だらけの涅槃図ですかニャ。

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お客様の声より
カリカリーナLuceで心地よさげなブリティッシュショートヘアのしゃけ君

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ポアロくんとつつじちゃん( 茶トラとキジトラ)

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阿部 真麩美

アベ マフミ

大好きな「猫検索」で、気がつくと徹夜している猫大好きライター

人生の25年間を6頭の猫と暮らし、今は7頭目との出会いを待ちわびています。

老後の趣味を探すため、お習字、水墨画、茶道を始めたものの、どれも落ちこぼれ中。