ライター 阿部真麩美
暑さの中にも少し冷えた風が混じるようになりました。
虫の声もセミから鈴虫へと変化して、耳からも秋を感じます。
虫の声といえば、松虫はチンチロリン、鈴虫はリンリンリンですね。
子供の頃、唱歌「虫の声」で覚えました。
ところが、平安時代はこれが逆だったんですって。
松虫がリンリンリン、鈴虫がチンチロリン。
紫式部は、その認識で源氏物語の「すずむし」の巻を書きました。
松虫が「恋人を待つ」とか常緑の「松」から「長生き」を連想させて執着心につながることから、「すずむし」を愛でることで光源氏が目指す「涼しき生き方」を表現したそうです。
虫の声ひとつにも深い意味が込められており、紫式部の才能には驚かされます。
二千円札の裏にも絵巻と一緒に「すずむし」の詞書(ことばがき)が描かれていて、新札として発行された2000年当時はこの話が話題になっていたので、覚えている方もおられるのでは。
ちなみに、松虫と鈴虫の名前が入れ替わったのは江戸時代のことで、はっきりした理由はわかっていないとのことです。
そして大河ドラマも佳境に入り、紫式部もいよいよ源氏物語を書き始めました。
ストーリーもさることながら、ドラマでは平安時代の衣装も目を楽しませてくれます。
宮廷の女房たちが並ぶシーンでは、鮮やかな地色に金糸銀糸で刺繍された十二単が勢揃いして、圧巻です。
少し前の放送回では、薄紅色ばかり着ている中宮彰子は、本当は青が好きなことを告白する場面がありました。
今後、紫式部の力によって自分を表現する術を身につけていくことで、衣装の色も変わっていくことを予感させるシーンですね。
源氏物語の中でも、衣装の色はかなり細かく書かれています。
どんな場面で何色のものを着ているかで、その人のセンスや人となりを表していることからも、色はお洒落の重要な要素だったことがわかります。
一方で、この時代の美意識の完成度にも感動します。
十二単は女房装束の正装で、裏地のない着物「単(ひとえ)」を何枚も重ねて着る衣装で、季節ごとの色の組み合わせが重視されていました。
また、重ね方にはそれぞれ名前がついていて、その名前自体の響きも美しさの極み。
せっかく優美な時代の物語が話題になっているのですから、今年のカリカリーナ「あなた色」は、平安朝風のアレンジをしてみませんか。
ボティーは28色、背もたれシートは27色から好きな色を組み合わせられるので、そのパターンは757組にも登ります。
つまり、今なら平安時代の色重ねと同じ色彩感覚で、日本一雅やかなカリカリーナが作れるんです。
濃淡の二種類の緑を重ねて「初紅葉(はつもみじ)」とか、薄紫と青(どうみても緑!)を重ねて「移菊(うつろいぎく)」など、色だけでなく重ねた色の名称までも楽しめる、年に一度の機会です。
あなた色(パロットグリーン×グリニッジ)
あなた色(ライラック×パロットグリーン)
余談ですが、当時は青と緑の区別がなく、緑は青の中の種類の一つだったそう。
信号機の緑が今でも「青」と言われているのは、その名残なんですね。
例えば、かさね色目「赤朽葉(あかくちば)」のカリカリーナでくつろぐ愛猫、なんて想像すると、すんごく優雅な感じがしてきますよね。
あなた色(オレンジ×ライトレモン)
これでお宅の猫さんも、藤原一族の仲間入りニャ!
平安時代から愛されてきた猫族の皆様にふさわしい、令和の猫用玉座を用意してあげてくださいね。