ライター 阿部真麩美
新年度を迎え、早1ヶ月が過ぎました。
年度始めのニュースで驚いたのは、退職代行サービスの盛況ぶりです。
ちょっと待って、今日は4月1日で入社した日でしょ?その日に辞めるってこと?あ、エイプリルフールのネタ?など脳みそグルグル。
それがジョークではないとわかって、世の中が大きく変わったことを感じました。
我慢が足りないと思うのと同時に、決断が早いという側面も否定できない。
〇〇世代という言い方で人となりを分類するのは乱暴すぎますが、昭和生まれの私としては、入社したその日に退社を決断するなんてありえません。
もちろん当時だって、退職届を出先から電話で「引き出しに入れときました」と言った人や、ファクスで送ってきた人はいました。
そうしたケースが増えるのがちょうど今時で、「五月病かしらね」で納得してきたのが昭和生まれです。
五月病は今でも使われる軽い「うつ」や「適応障害」の俗称で、以前は春から生活が変わった新入社員や新入生がゴールデンウィークで張り詰めていた緊張の糸がゆるみ、やる気が出ない、眠れないなどの症状が出ることをいいましたが、今は転職や転勤、部署異動で環境に変化が生じる中高年にも用いられるそうですよ。
そんな、心身にちょっと疲れを感じている猫好きの方にご紹介したいのが、「ニャンと空海」です。
🐈生きるヒントは猫と空海にあり🐈
— 宝島社 出版営業 (@TKJ_sales) September 15, 2024
「猫の日常」×「空海の言葉」真言宗密蔵院の住職・名取芳彦氏によるわかりやすい解説と、くすっと笑えてほっこりできる猫の写真とともに、空海の教えを学べる
『ニャンと空海』(9784299054227)
プレゼントブック🎁にオススメの1冊!
ご注文お待ちしております! pic.twitter.com/eTahMpIS4i
「生きるヒントは猫と空海にあり!」がキャッチコピーのこの本は、空海の言葉を猫の日常になぞらえながら、わかりやすく解説しています。
おすすめポイントその1は、右ページに猫の写真と空海の言葉の超訳、左に現代語訳とその解説というように見開きで完結していること。
私は心に引っ掛かる事があった夜、おみくじを引くように適当にページを開くのですが、そこに答えを見出したことが何度もあります。
欲張ってスケジュールを詰め込み過ぎた時は、「優先順位をまちがえない」が現れたし、ボランティア仲間が言葉の行き違いでギスギスしていた時は「こまかいことには目を瞑ろう」に励まされて、「誤解しているみたいですよ」と仲裁することができました。
おすすめポイントその2は、心に染みる言葉なのにクスッと笑えること。
写真の選び方も絶妙ですが、猫のつぶやきの力の抜け具合が小気味好いのです。
大変な時でも、ちょっと笑えるだけで少し救われる気がしますよね。
著者の名取芳彦(なとりほうげん)さんは、私に最初に写仏を指導してくれた方でもあります。
東京都江戸川区にある密蔵院というお寺のご住職で、毎月開催される写仏の会に友人らと参加したところ、「心が整う感じ」にすっかり魅了されてしまいました。
写経とは違い、なんの意味も考えずにひたすら仏様をなぞる、という行為は人を癒す力があるようで、一緒に行った6名ですぐに「写仏同好会」を結成するほどでした。
また、毎回いただける法話もユーモアたっぷりで、為になるのに面白い。
本のプロフィール欄には、著書・監修書は累計100万部を超えるとあり、なるほど次から次と繰り出されるエピソードは、仏教の教えに加えて豊かな観察力と多くの著作による文章力の賜物なんだわ、と気づきました。
私は眠れない夜対策として、ベッドサイドに数冊の本を用意しています。
犯罪小説のようにダークサイドに陥る危険がなく、心が洗われる内容で、優しい気持ちになれるもの限定。
「ニャンと空海」も、その中の1冊になっています。
若者でも中高年でも、誰しも心が風邪気味になることはあります。
そんな時は、猫さんにカリカリーナから膝の上に移動していただいて、心に届く本を読む。
そんな「言葉の薬」の服用も、じわっと効きますのでお試しくださいニャ。
カリカリーナOvettoでくつろぐチロルちゃん