カリカリーナのKAI工場長もお世話になっている、安房中央動物病院の作佐部紀子(さくさべ のりこ)先生に、猫の健康にまつわるあれこれを教えていただく連載コラム。第三回目は、「爪とぎの選び方と設置場所について」です。

猫にとって爪をとぐことは本能的なもので、生きる上での正常な行動のひとつです。飼い主さんには、愛猫に合う爪とぎを適切な場所に用意してあげてほしいところですが、猫の爪とぎとひとことで言っても、形や素材もさまざまですし、何をどう選んだらよいのか分からない方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、猫の爪とぎの選び方のポイントや設置場所について詳しくお伝えしたいと思います。爪とぎを使ってくれない子へのアドバイスも載せていますので、参考にしてくださいね。
1: 猫はなぜ爪をとぐのか?
2: 爪とぎの選び方のポイント
3: 爪とぎを設置する場所
4: ここはやめて!爪とぎをしてほしくないところへの対策は?
5: 爪とぎを使ってくれない子に試してほしいこと
6: 子猫への爪とぎのしつけについて
Point1: 猫はなぜ爪をとぐのか?

そもそも、なぜ猫は爪とぎをするのでしょうか。猫が爪をとぐ理由は次の通りです。
① 爪のお手入れ
猫が爪をとぐ理由のひとつめは、爪をとぎながら爪のお手入れをしているからです。猫は爪をとぐことで自然と古い層の爪を剥がして爪を新しくしています。猫の爪は外側と内側の二重構造になっているため、古い爪を剥がして鋭い爪を維持する目的で爪とぎをしているのです。
② マーキング
猫は自分の縄張りに匂いをつける「マーキング」と呼ばれる行動をとります。猫の爪とぎもマーキングの一種です。例えば、爪を研いだ場所が高いほど、そこに大きな猫がいたという証拠となり、視覚的なマーキングになります。
また、猫は嗅覚が鋭い生き物なので、爪とぎをした場所の匂いを嗅ぐことで、若いかお年寄りの猫なのかもわかります。つまり嗅覚的なマーキングにもなるのです。
③ ストレッチ
猫が爪とぎをするとき、前脚を伸ばしますよね。猫は体を伸ばしてストレッチする習性があるため、爪とぎをすることで体を伸ばしています。
④ 飼い主の関心をひくため
猫は飼い主に注目してほしいとき、爪をとぐことがあります。例えば爪とぎをしてほしくない場所で爪とぎをしているときに、「そこはダメ!」など声をかけてしまうと、猫は”飼い主が構ってくれた”と誤った認識をしてしまうため、注意が必要です。
⑤ ストレス発散
不安や強いストレスを感じると、猫は気持ちを落ち着かせるために爪とぎをすることがあります。
Point2: 爪とぎの選び方のポイント

猫の爪とぎは素材や大きさ、形の異なるものがたくさんあります。大切なのは猫が気に入る爪とぎを見つけてあげることです。ここで爪とぎを選ぶときに注目したいポイントをお伝えします。
ポイント①:大きさと形
猫の爪とぎには、猫が体を伸ばしたまま爪とぎができる平置き型や、立ち上がって爪がとげる垂直型、猫が入れるハウス型などがあります。
猫によって好みが分かれますので、いろんなタイプを用意して好きな爪とぎがどれか、確かめると良いでしょう。
また、猫がリラックスして爪とぎできるためにも、十分に体を伸ばすことができる大きさと安定感のあるものを選ぶことが大切です。例えば、軽くて不安定な商品は爪とぎ中にグラグラ揺れてしまうため、猫が不快感を覚えます。反対に安定している爪とぎですと、猫も一心不乱に爪がとげますよ。
カリカリーナ Giorno ジョルノは観葉植物が飾れるおしゃれな垂直型の爪とぎ。
インテリアとして置ける見た目なのに、安定感が抜群に良く高さがあるので、猫ちゃんが思いっきり気持ちよく爪とぎができますよ♪
ポイント②:素材
爪とぎの素材も猫の好みによって分かれます。それぞれ特徴が異なりますので、はじめは素材の違う爪とぎを用意して、猫が気に入るものを探してみるのも良いでしょう。
【麻タイプ】
・頑丈なものが多い
・研ぎカスが出にくく掃除がしやすい
・値段が高い
【段ボール】
・猫は段ボールを好む傾向にある
・商品によっては研ぎカスが出やすい
・安価なものも多い
【カーペット/ラグ】
・カーペットやラグにしか爪とぎをしない猫におすすめ
・商品によっては爪がひっかかる
・軽い商品の場合不安定になり上手く爪がとげないこともある
【木製】
・丈夫で長持ちしやすい
・研ぎカスが出やすい
・値段が高い
【綿】
・ほつれやすいため誤飲する危険性がある
・柔らかい素材のため猫が好む場合もある
カリカリーナ matita マティータ
カリカリーナの爪とぎは超強化ダンボールでできているため、一般的なダンボール製の爪とぎに比べて研ぎカスも出にくく、とっても頑丈です♪
Point3: 爪とぎを設置する場所

爪とぎは、ドア、玄関、ベランダへの入口などの通り道に置きましょう。
この通り道は猫にとって生活ルートの境界線となり、緊張する場所でもあります。猫はこの境界線に「自分がここを通りました」という主張をするために爪とぎやマーキングをすることが多いからです。
どこに置いていいかよく分からない場合は、猫の1日の行動を観察してみましょう。毎日猫がどのルートを通っているか知ることで、自然と爪とぎを置く場所もわかってくるはずです。
また、ソファで爪とぎをする子ならあえてソファの近くに置くのもひとつの手です。
Point4: ここはやめて!爪とぎをしてほしくないところへの対策は?

「猫の爪とぎは用意したけれど、他の場所にも爪とぎされそうで怖い…」大切な家具や壁など、爪とぎをしてほしくない場所がある方は、前もって対策をすることをおすすめします。
猫が見えないところに隠す
爪とぎをされたくない場所は、猫が見えないように布やビニールシートで覆って隠しましょう。家具の場合は、爪をとげないように別の物を置いてガードするのもひとつの手です。
フェロモンスプレーをかける
猫用のフェロモンスプレーを動物病院で処方してもらう方法もあります。このフェロモンスプレーは、猫がリラックスしているときに顔の周りから出るフェロモン物質をスプレーにしたもの。フェロモンスプレーをかけたところは、猫にとって安心できる場所と認識する可能性が高いため、爪とぎを防ぐ効果が期待できます。
爪とぎ中は声をかけない
猫が爪とぎをする理由でもお伝えしたとおり、猫は飼い主に構ってほしくて爪とぎをすることがあります。猫が望ましくない場所で爪をといでいたとしても、「ダメ!」など声をかけないようにしましょう。
反対に、正しい場所で爪とぎをしたときこそ「かっこいいね!」など声かけしてあげるとgoodです。
Point5: 爪とぎを使ってくれない子に試してほしいこと

せっかく爪とぎを用意したのに、使ってくれないと残念な気持ちになりますよね。そんなときは、猫の匂いがついたタオルや毛布を置いてあげてください。猫は自分の匂いがついていない爪とぎを警戒してしまい、使ってくれない場合もあるので、「あなたのものだよ」と示すためにも新しい爪とぎには匂いをつけましょう。
また、猫の好きな高い場所や窓辺に置いてみるのも効果的です。ただ、場所を変えすぎると猫が戸惑ってしまうので、数日は決めたところに置いて様子をみてください。
飼い主さんとしては「なんで爪とぎを使ってくれないのかなぁ」と思ってしまうところですが、気長に待つことが大切です。
また、足腰が弱い子は爪とぎができない場合もあります。商品を変えても一切爪とぎをしないときは、体の問題で爪とぎ自体ができない可能性があることを覚えておきましょう。足腰の弱さに気が付いた際は、かかりつけ医に相談してみてくださいね。
Point6: 子猫への爪とぎのしつけについて

子猫への爪とぎのしつけは生後半年過ぎたあたりから行いましょう。ちょうどその頃から、子猫は自分の縄張りを広げたい意識が出てくるからです。
反対に6ヶ月までは縄張りという認識があまりないですし、この時期は爪も小さいので特にしつけは必要ないですね。
生後6か月を過ぎた子猫に爪とぎを使用する際は、はじめに子猫の肉球の匂いをぺったんと爪とぎにつけてあげると良いでしょう。これは「ここで爪とぎをしていいんだよ」というサインになります。
また、子猫の手を持って、爪とぎをする真似をしてあげるのもおすすめ。一緒に練習してあげると子猫も爪とぎに興味を示すようになるかもしれませんからぜひ実践してみてくださいね。

